Jakarta Communication Club
ジャカルタコミュニケーションクラブ
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よもやまクラブ by Ibu KAIKIRI                           
 
2003年3月正式公開より
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日本語教師七転八倒物語
103回


2007年 3月



著者:甲斐切清子
 

 

ここ1ヶ月ぐらい、韓国エステがマイブームである。インドネシアは、サロンやエステ、スパなどが日本に比べて仰天に安く、常日頃から週末はサロンに通うのが習慣になっている私だが、あくまでもローカル系サロン。クリームバス(ヘアケアをかねたヘッドマッサージ)や、ルルール(スクラブクリームを使ったボディマッサージ)、そのほか、フットマッサージやらフェイシャルやら、とにかく、インドネシアにいるうちに一生分やってやる! という勢いで、毎週毎週、家の近くのサロンに足しげく通っている。

だが、1月の終わりころ、友人が韓国エステに行ってみようと誘ってきた。韓国エステ…そのネーミングは、若干の怪しさの中に、えもいわれぬ誘惑が含まれている。なにより、ジャカルタ滞在15年目の私に、足を踏み込んだことのない世界があること自体がなんとも癪である。知らないことはほかにもまだまだあるのに、実に鼻持ちならないやつだと自分でも思うが、なんでもトライしようという前向きな姿勢に免じて許してほしい。


 そして行った韓国エステは、まさに不思議ワールドだった。なんてったって店の中のありとあらゆる張り紙や説明書きがすべてハングル文字なもんだから、さっぱり理解できない。きっと日本に来た外国人ってこんな気分なんだろうなぁ。

しかしである。ここのフェイシャル、これはすごい。がっちりフェイシャルをしてくれながら、足と手、および背中まで、サービスというにはあまりにも濃密な内容。なんてすばらしい世界なのだ! と思っていたらその上があった。韓国あかすりである。

私は、5年前にソウルに行ったとき、1度だけ韓国あかすりを経験した。ガイドブックに書かれていたように、黒い○○ジャーと同じく黒い○○ティー姿の4、50代のおばさんが、ごしごしガシガシ体中をすりまくってくれた。もしかして、ジャカルタ韓国エステのあかすりも、インドネシア人の4、50代のIbu-ibuが黒い下着姿で現れるのでは! と、どきどきハラハラしながら入っていったら、さすにそれはなく、上下揃いの部屋着のようなものを着た、普通のサロンのスタッフよりは若干、年季の入ったお姉さんもしくはおばさんたちと思われるあかすりスタッフが客を待っていた。

 
  さて、サウナに入ったあと通されたあかすりルームで、私は担当のあかすりお姉さんに訊いた。

「時間はどのぐらいなの」。

するとあかすりお姉さんは答えた。「1時間」。

私はすぐさま疑った。

「まっさかぁ、あかすりを1時間もやっていたら皮までむけちゃうじゃん」。

そして自嘲的に笑った。

「私も馬鹿ね。この期に及んでこんなことを訊くなんて」。

だって、そうでしょう? インドネシア人に、かかる距離や時間を尋ねて、まともに答えてもらった経験、みなさんはどのぐらいあるだろうか。親指の長さほどの棒っきれを10センチと言ったり、100メートルぐらいの距離を歩いて10分と言ったり、どう見てもオフホワイトの色を茶色と言ったり、そんなことの繰り返しでストレスがてんこ盛りになっていく。

だから私は、あかすり1時間というあかすりお姉さんの言葉を、あっさり無視して体を預けた。


 ところがである。本当に1時間だったのだ。なぜなら、韓国あかすりジャカルタ版は、フェイシャルと同じく、サービスがいっぱいついてくるのだ。ソウルのあかすりおばちゃんに負けず劣らずのテクニックでごしごしガシガシこすってくれたあと、全身を改めて洗い清めてくれ、続いて全身マッサージ。わー、これコンプリートじゃない! と感激しているうちに、その手は私の顔に。そしてフェイシャルと同じテクニックでマッサージ開始。あまりの気持ちよさに全身ふにゃふにゃになりながら、「ここまでやるのかー、もしかしてヘッドマッサージまでやってくれるわけじゃ…、まさか、そんな甘くはないわな~~~」と、わずかに残された思考回路でふにゃふにゃと考えていたら、あかすりお姉さんのたくましい手が私の髪をがっとつかんだ。あ! と思ったときには、すでに私の頭はあかすりお姉さんの手中に納められ、その手で力強いヘッドマッサージが始まっていた。

そう、ジャカルタの韓国あかすりは、①あかすり、②全身あらい、③ボディマッサージ、④フェイシャル、⑤ヘッドマッサージの、完璧なるコースになっているのだ。しかも、「あー、なんだか2キロは体重減ったかも~♥」という、うれしい錯覚もついてくる。

帰りにその韓国エステの受付横をのぞいたら、韓国料理の簡易食堂があって、韓国冷麺や韓国巻き寿司を安く出していた。むむ、ここも試してみなければ! と、またまた来週の予定に韓国エステを入れてしまった私。しばらくこのマイブームは続きそうである


 ところで、この「マイブーム」というふざけた表現、大昔は「~に凝っている」、ちょっと昔は「ハマっている」と言っていたと思う。

私は小学生のころ、ココアに凝ったことがあった。もちろん小学生だったので、けして銘柄がどうの、作り方がどうのという凝り方だったわけではないが、毎日学校から帰ると判で押したようにココアを作って飲んでいた。言ってみればこれが、私の初めてのマイブームだったのだろう。

とにかくそれが好きで繰り返す、これがマイブームであろうが、そのうちに自分の生活に定着してしまうと、それは「習慣」となる。ブームというものはあくまでも去らなければならない。そう、マイブームは、一時的に凝って繰り返し繰り返し行なってしまうが、そのうち潮が引くように飽きてすっかりやらなくなってしまうことを言うのだと思う。

インドネシアに住んで15年、これまでいくつものマイブームが私の元にやってきては去っていった。

以前、1年ほどカラオケCDに凝ったことがあった。もちろん、インドネシア語の歌である。私が好きなインドネシアの歌い手は、キャリア充分・実力派のErmy KulitRuth SahanayaRita EffendiTrie Utami Vina Panduwinataなどだが、彼女たちの歌の入ったカラオケCDを買ってきては家で歌っていた。その頃うちにいたラトミというお手伝いさんは、よくそれを聞きながら、「その歌はうまい」とか、「それは合っていないからやめておけ」とか意見してくれたものである。

マンガドゥアがマイブームとして私を襲ったこともある。4、5年ほど前、毎週末になると判で押したようにマンガドゥアに通っていた。それはもう、行かねばならぬという強迫観念にも似た症状であった。また、毎日、抹茶ケーキを食べなければ気がすまないという状況に陥ったこともあった。これはさすがに体重計のことを慮って、自ら早めにブームに終止符を打った。

  これからあと何年住み続けるかわからないジャカルタで、次はどんなマイブームがやってくるのか…。楽しいけれども、お金のかからない事柄であってほしいと切に願う。                                   
 




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