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よもやまクラブ by Ibu KAIKIRI                           

 

日本語教師七転八倒物語
59回


2002年 8月



著者:甲斐切清子
 

 

それはいつも空港の出入国カウンターでおこる。あ、こんな文から始めたら、また甲斐切は、前回 インドネシアのスーパーマーケットの話が未完で終わって「次回に続く」になったのを忘れて、全然関係ない話を 始めようとしているな…と思う方がいらっしゃるかもしれない。もぉ〜、私はそこまでボケちゃいないですってー。 改めて、これはれっきとした前回の続きなので、指摘しようとしたその指は引っ込めてください。じゃあ、もう1回 初めからいきます。  
  それはいつも空港の出入国カウンターでおこる。たとえば成田から海外へ飛び立つそのときのことを 思い出してほしい。めざす航空会社にチェックインして、搭乗券も手にし、ボディチェックも無事すませ、あとは パスポートチェックさえすればそこはきらびやかな免税店の世界。免税店―それはこれから向かう、パリ、シドニー、 ニューヨークへいざなうエントランスとも言えよう。インターナショナルな空気の中に充満する華やかなざわめきが 旅心をいやがおうにもかきたてる。だが、その前にある入国審査。これが問題である。出入国カウンターは たいていの空港の場合、5台から10台ほどあるが、そのどの列に並ぶかを選ぶときから神経衰弱は始まる。 ここを早く通り抜けて、あのキンキンキラキラの世界に行きたいという思いが、どこに並べば一番早いのだ、という 気持ちに拍車をかける。瞬時のうちに、家族連れはいないか(人数が多い)、何やらあやしげなヤツはいないか (パスポートに難癖をつけられて時間がとられる)などなどを判断し、よしっと目星をつけた列の最後尾につく。 それからが自分の小心との戦いだ。自らの小心を揺さぶるのは他でもない、同時期に他列の最後尾についた人 たち…あえて同期生と呼ばせていただくが、その人たちの動きである。実は、他の列全部の同期生を無意識の うちにほぼ確認できている自分にちょっと驚くのだが、とにかくその人たちが先に進むとイラッとするのである。 でもそこで自分も進むとホッとする。その次に自分がまた歩を進めると、くー、やったね! 行け行け! と ほくそえむ。だが、そうこうしているうちに自分の列の審査中の人が何やらパスポートに問題があって、時間が かかっていたりすると、不安がじわりと襲ってくる。その間に隣の列がカシャ、カシャ、というように進んでいくともう いけない。私の小心はもののみごとに乱れまくり、「あ〜、失敗だったー、あっちの列にすりゃよかったー」と、それは もうみっともない様相を呈するのだ…

  …ということが、そのまんまインドネシアのスーパーでは起こる(突然、話が前回に接続しました)。 もちろん日本のスーパーマーケットでも起こり得ることだが、特に、商品管理やレジの仕事ぶりが一定していない インドネシアのスーパーマーケットでは列の進み具合がまことにもって不安定である。おまけに最近は銀行の カードやクレジットカードで支払いをする人が多くなってきたので、まさしく一寸先は闇。そんなわけで、ここの スーパーのレジに並ぶ時は、たとえ2、3人の並び具合でも一世一代の決断と覚悟をしなければならない。正直、 疲れる。  
  そのレジの進み具合を邪魔するものとして、もうひとつ挙げておきたいことがある。果物の量り売り システムだ。スーパーってのは元来買いやすいように作られているんだから、かごの中にさっと入れて、すっと ならんで、ぽんと払って帰りたい。なのにここでは果物と一部の野菜は買いたいだけ手にし、量りで値段を確認し、 ラベルを貼ってもらってそれをレジに持っていく。それを忘れるとレジで自分の番が来た時になって「ふりだしへ戻る」 となる。がっくり。
  ただし、この量り売りシステムは私のようなものぐさにとってはどーにかしてくれというものなのだが、細かく 買い物したい方たちには評判がいいようだ。確かに、最初は奇妙だった事柄も日常的に目にしていると慣れてきて、 全然違和感がなくなることがある。私の場合、その最たるものは「シャンプーの匂いかぎ」であった。思いおこせば 10年前、ジャカルタで働き始めた私が生活雑貨を買うために一番初めに出向いたのは忘れもしないマンガライの PASARAYAであった。え? 御存知なかったですか? そーなんです、PASARAYAってブロックMだけじゃないん です。マンガライのPASARAYAって、お客さんが少なくて買い物しやすいですよー。ただそれだけに、いつつぶれる かがいつも気になるんですけどね〜。あ、それはまぁいいとして。生活雑貨といえば何をさておいても、石鹸、 歯磨き、シャンプー、リンス。もちろん私もPASARAYAの中に入っているHEROスーパーマーケットの、石鹸、 歯磨き、シャンプー、リンス売り場へと直行した。するとである、何人かが直立または座り込みスタイルで片っ端から 商品を手にしては顔に近づけている。なんだろう…と思ってそばによって見ると、みんな歯磨き粉やシャンプー、 リンスのキャップを開けたり、箱入り石鹸から中身を取り出して匂いをかいでいるではないか。これは日本では できない。しようと思ったことさえない。なんてったって封じられたものを開けるというのは買った人の権利であって、 買おうとする人にはまだその権利は発生していない。−とかいうまどろっこしい講釈は、とにかくないのがこの国だ。 今では私も時々、シャンプー、リンス、液体洗剤、気になると開けて鼻を近づけている。一度、日本に行った時、 無意識のうちにそれをやりそうになってひやっとした事がある。習慣って怖い。そうそう、化粧品で思い出したが、 近頃、スーパーマーケットの化粧品棚の商品は、箱だけ陳列して中身は入っていない事がある。これは中身を 持ってっちゃう人がいるのでその対策らしいが、よもや匂いかぎ防止対策だったりするんじゃないだろうなぁ。

  さて、インドネシアのスーパーマーケットについて、最後に是非書いておきたいのがジャカルタの 大型スーパーにおける人乗せカートである。ここジャカルタには、CARREFOUR、GORO、MAKRO といった 大型スーパーがある。大量な品揃えを売りにしている店だから、当然みんなそれはたくさんのものを買いこ むのだが、それにしてもその量ったら、1ヶ月のお給料をみ〜んな使い果たしているんじゃなかろうかというくらい 大量で、ちょっと唖然とする。私なんか、あの1メートル強はあるカートにどう見栄を張って買いまくっても半分も 埋まらない。

  さて、大型スーパーはその名の通り、大きい。はっきり言って大きすぎる。だからといってだ。なにも あのカートに人が乗ることはないではないか。確かにその広さゆえ、歩くのは疲れるかもしれない。だが、いい大人 があれに座って嬉しそうに商品棚を見上げている姿は、スーパーマーケットという近代的な場所にまるで そぐわない。せっかくモダンなスーパーに買い物に来たのに、突然、大八車に年老いた親を乗せて姨捨山に向かう 村人に遭遇した気分。もしくはスーパーの中でいきなりベチャとすれ違った感じ。ほとんどのカートのコロの具合が 良くないのもそのせいだと確信する。「カートには人を載せないで下さい」という注意書きを強く要望する。

  ところで、去年の9月号でお手伝いのラトミのために冷蔵庫なんか買ってやるもんかーっと断言した くせにその夢捨てきれず、遂に先日、冷蔵庫を買った。すぐにラトミと協議した結果、ラトミのスペースは野菜入れ の上の2段。私のスペースはチルドルームとその下2段、およびフリーザースペース。野菜室は共同と決まった。 これで平和的に冷蔵庫が使えるというものだ。やったぁ〜〜〜! 念願の2ドア冷蔵庫だー!!  カンゲキー!!!
  さぁー、今日は仕事が終わったら、帰りにスーパーマーケットに寄って買い物しよう。なんてったって、 こんなに嬉しさいっぱいだったら、インドネシアのスーパーマーケットの全てが許せちゃうもんね!     


 


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