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ジャカルタコミュニケーションクラブ
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よもやまクラブ by Ibu KAIKIRI                           

 

日本語教師七転八倒物語
59回


2002年 8月



著者:甲斐切清子
 

 

私には姉がいる。五つ違いで、非常に親孝行な、いわゆるデキた長女である。私とは違って田舎の 広島で就職し、広島で結婚し、今も広島に住んでいる。そんな姉は私を、「あんたは5年と同じところに住んだためし がない」と呆れる。「このままでは、たったひとりの妹と、あとどのくらい一緒に時間を過ごせるかわからない」と嘆く。 夫婦喧嘩をして妹のところに駆け込もうにも、いつもそれは東京だったり、ジャカルタだったりして、「お金がかかって しょうがない」と愚痴る(実際、姉は東京に2回、ジャカルタに1回、家出の実績がある)。それでも、いつも私のことを 気にかけてくれ、長距離通話にかかる費用も顧ず電話をかけてくれる。そんな姉だが、次の二つのテーマだけは 御法度である。それは、「お手伝いさん」と「マッサージ」ネタである。
  夫婦で設計事務所を営んでいる姉は、朝7時のごみだしから、朝食の支度、掃除洗濯を済ませてから 仕事を始め、昼になれば昼食の支度をし、また仕事に戻り、夕方近くになれば洗濯物を取り込み、アイロンをかけ、 そして夕食の準備に取り掛かり食事が終われば片づけをして、寝る前に明日の朝出すごみの整理をして深夜就寝 という生活を余儀なくされている。だから、お手伝いさんに「コーヒーを作ってもらう」とか、「ベッドメーキングをして もらう」とか、「朝、着替えに迷って出しちらかした服を元のところにしまってもらう」とか、当然うらやましいわけだ。 ましてや、「冷蔵庫からアクア(ミネラルウォーターですね)をとって来てもらう」とか、「扇風機の向きを変えてもらう」 とかになるともう、うらやましいのをこえて腹立たしくなるらしい。確かに日本では、一般家庭はもとより、映画スター やタレントでさえお手伝いさんってめったに雇えないから、その気持ちもわからないでもないが、とにかく、この国 にはお手伝いさんがいてくれるわけだから、腹を立てられても困るんだけどなぁ…。ま、確かにアクアや冷蔵庫に 関しては私のぐうたらな生活(性格か?)によるものとも考えられるので、癇に障られても仕方がない。
  そして、もうひとつの御法度ネタ、マッサージ。これも日本では贅沢の部類に入るであろう。だから、 日常的にマッサージをしてもらっている私の話は、姉にとっては気に入らないのである。だが、言わせてもらえば 私だって、自慢じゃないけど日本で生活した、のべ30年の間に、マッサージや指圧、按摩などをお金を払ってして もらったことなんぞ、ただの一度もない。だからこそ、ジャカルタではやりたい放題にやってもらっているのだ。 文句があるならジャカルタに住んでみろってんだ! あー、ごめん〜、おねえさん!!

  さて、そのマッサージ(Pijit)だが、私はお手伝いのラトミにしてもらうことが多い。そのまま寝ようが ヨダレをたらそうが誰にも文句を言われない自宅マッサージは一番「Enak!(エナッ=気持ちいい)」だ。ただ、90分 1万ルピアという破格な料金でやってもらうかわりに、テレビを見ながらやってもよいということにしていので、時折 ラトミがテレビに見入って力が均等でなくなるのが難点である。このラトミとのマッサージタイムは毎週日曜日の 午前中で、日頃話す時間の少ない私たちが、唯一、だらだらと世間話のできる大変貴重な時間であると言えよう。
  だが、このラトミも実はマッサージに通っている。しかもいろいろ試しているようで、うちの近くにも マッサージをしてくれるところがあるけど、そこは痛すぎてEnakではない―とか、お薦めは隣地区の按摩さん―とか、 いろいろ教えてくれる。最近彼女が入手した情報によると、線路向こうに98歳になるマッサージおばあさんがいると いうことで、今度絶対トライすると意気込んでいた。結果を楽しみにしておこう。しかしねぇ…、98歳のおばあさんが ねぇ…、マッサージをねぇ…、してもらうんじゃなくて、してあげるなんてねぇ…、ちょっと罪悪感で肩、 こりそうだよなぁ。年とったじいちゃんベチャに乗る時の気分に似たものがあるよなぁ…。もしかしてその おばあちゃんも、誰かにマッサージしてもらってるんだろうか。「金は天下のまわりもの」って言うけど、マッサージも 天下のまわりものなんだなぁ…。よぉし! 私も広島に帰ったら、せいぜい親孝行な姉にマッサージをしてあげる ことにしよう。

  マッサージと言えばここインドネシアには、ルルール(Lulur)という伝統的なマッサージ法がある。 これはどちらかというとボディーマッサージによるスキンケアといった感じだ。事実、インドネシアの女性たちは お嫁に行く前に、結構ルルールに通うらしい。つるんつるんの玉のようなお肌になってお嫁入りなんて、いいなー。 私のほうは、そんな目的はさっぱりないので、ひたすら疲れた体を癒してもらうために通う。
  ルルールのプロセスは、まず初めにスタンダードなマッサージ。次にスクラブクリームを体全体に なでつける。しばしそのままにして半乾きになったあたりでそれをすりこみ、もみこみながら、体の部分部分を ほぐしていく。次に希望があれば全身パックをしてもらって、最後は簡単サウナで仕上げ。シャワーを浴びた ワタシの体は、今にも玉になってはじけそう〜♪ てなわけないでしょ、石鹸のコマーシャルじゃあるまいし。 でも近いものがありますよ〜。
  余談だが、ルルールは体全体をクリームで覆うので、パンツ1枚にならなければならない。もちろんその パンツもクリームなどでぬれてしまうから、できれば替えのパンツを用意して行くこと。用意して行かなかった場合、 どうなるかというと、
  @ ぬれたパンツで帰らなきゃいけない。
  A その場でインスタントペーパーパンツを買わされる。
  B すっぽんぽんにさせられて、ちょっと恥ずかしい。
  さあ、あなたはどれを選びますか。ちなみに私はぬれたパンツのまま歩くのは嫌だし、行った店では パンツを売っていなかったので、Bを選ばざるを得なかったことがある。きゃー、想像しないで〜! (するかっ!!)

  最近はフットマッサージ(Refleksi)もインドネシアで市民権を得てきたようである。私が初めて フットマッサージなるものを経験したのはタイのバンコクだったが、あちらではすりこぎのミニ版みたいなので ぎゅっぎゅっとやっていた。ここインドネシアでは手である。生手(なまて、と読んでいただきたい)である。 はっきり言って痛い。フットマッサージは、押した時に痛かった場所によって、体のどの部分が弱っているか、 病んでいるかがわかるというが、私の場合、もう片っ端から痛い。こんなに痛いんじゃ私の体はすでにボロボロの ガタガタで明日にでも即入院絶対安静ってなくらい痛い。もちろん店やマッサージ担当者によって異なるのだろう から、いろいろ試すべきなのであろう。

  では最後にマッサージをしてもらうときのアドバイスをいくつか。
  @ できるだけ午前中に行く。朝は担当者の力もたっぷりある。夕方はすでにバッテリー切れの事が多い。
  A 開始前の時間確認。これをしないと1時間のところ45分で終わったりする。時計をちらちら見るのも効果大。
  B 気持ちがいい時には惜しみなく「Enak」と言おう。やっている方もやりがいを感じるし、嬉しいはず。

  最後に、うちの学校から歩いて30秒のところに日本で研修して国家試験を取得したインドネシアの 視覚障害者の方がやっている指圧院がある。もちろん利用客のほぼ100%が日本人である。流暢な日本語で 話された中で、気になることがあった。そこは予約制なのだが、予約をしたのに連絡なしで来ない方が結構 いらっしゃるというのだ。「時間厳守や予約重視など、日本できつく言われてきたのですが、当の日本の方が お約束を守らないことに少し戸惑っています」という話を聞いて、恥ずかしさに指圧をしてもらっていた体が 一瞬こわばってしまった。そこでCを付け加えます。行けなくなったり遅れそうになったら、必ず連絡を! 


 


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