Jakarta Communication Club
ジャカルタコミュニケーションクラブ
 Since 1997

よもやまクラブ by Ibu KAIKIRI                           

 

日本語教師七転八倒物語
85回


2005年 4月



著者:甲斐切清子

  

世界を旅すると言ってドロップアウトした私の友人夫婦が、毎月のように各国からニュースレターを 送ってくれる。その封筒が届くたびに、副校長のD先生と秘書頭(がしら)のCが、「せんせ、それ、よろしく!」と 思わせぶりな視線を送ってくる。このふたりは昔、日本にもたくさんいた切手コレクターだ。友人夫婦は、さすがに たっぷり時間があるとみえて、本当に珍しくおもしろい切手を見つけては貼ってきてくれるので、D先生とCの ふたりにとっては最高のお得意さんなのだ。しかし、最近耳にしたところでは、実はインドネシア人教師のL先生も、 事務部スタッフのTも切手を集め始めたらしく、これは分配をうまくやっていかねば、すねる人間が出てくるかも しれないと、ちょっと心配な今日このごろである。   

  ところで、インドネシア人は切手コレクターが多いわりに、手紙に記念切手を使う人が少ない。 日本では、最近切手を集める人は以前ほど多くなくなったと思うが、記念切手を使う人が増えたように思う。 記念切手を日常的に使う習慣が浸透してきたのだろう。インドネシア人の切手コレクターの様子を見ていると、 切手への興味は海外から来た外国製の切手ということに意味があるのであって、自国製の切手など興味ないので あろう…と思っていのだが、実はそうではなくて、彼らは自分の国で記念切手という精巧で独自性のある切手が、 随時発行されていることを知らないという事実が、つい最近判明した。
  昨年末のことである。新年カードを受講生の方にお送りする段になって、私が様々な記念切手を買って きたのが、ことの発端だった。それを見たスタッフたち、「うわー、せんせ、これ、どーしたの! どこで手に入れた の!」。私が、「ん? パサールバルの中央郵便局」と答えると、「えー、こんなおもしろいの売ってるの〜?」と 彼女たち。はいそうです、売ってるんですよ…というわけで、彼女たちはそのとき初めて記念切手の存在を知ったの だった。

  切手と言えば、日本人が切手を貼るとき、封筒の角を5oから1pほど余白を取って貼るのに 対して、インドネシア人はわりにぎりぎりに貼る。これはインドネシア人の食べ物のよそい方にも共通する。 インドネシア人は、カップに紅茶を注ぐときも、皿にミーゴレンをのせるときも、器の空きの部分がとても少ない。 たいていが器の容積の9割がたよそってある。コーヒーカップの中のコーヒーのかさが、ふちより1pも下だなんて、 とても恥ずかしいことなのだそうだ。ようするに、ケチっているように見えるわけである。だから、飲み物はふち ぎりぎりになみなみと、料理は小さなサイズの平皿にどかんとのっかってくる。そのまさしく山のようになっている 様は、日本人の目にはつくづく美しさに欠ける。このへんのギャップは、文化の違いと言うより感覚の違いであろう。

  さて、今日語るのは(…と言ってもすでに1ページ分語ってしまったが)、文化でも感覚でもない。 習慣のお話である。特に今日は、道具の使い方について書かせていただく。日本人は手先が器用だと言われる。 その器用さと見事な道具をもってがむしゃらに働いたからこそ、現代日本の繁栄があるのだ! いきなり力が 入ってきたので、少々危ない感じだが、それではまいります! 名付けて、「許すまじ! インドネシア人の道具の 使い方」。   

  その1−釘をはさみで抜こうとする
  事務所や家中のはさみが、全然切れないという思いをされていませんか。これはどうしてかというと、 ここの人たちが、いらなくなった釘をはさみで抜いちゃうからです。はさみの先で釘なんか抜かれちゃあ、2本の 刃先がかみ合わなくなって切れなくなっちゃうのは当たり前。ちょっと大きなはさみだとカナヅチ代わりにされることも ありますね。はさみで穴を掘ってるのも見たことがあります。

  その2−ねじをカナヅチでたたこうとする
  普通はカナヅチでたたくのは釘です。もちろん、ここの人たちも釘はカナヅチで打ちます。でも、ねじも 打っちゃいます、カナヅチで。ねじは通常ねじ回しで回すものですよね。でも、カナヅチで打っちゃいます。最初に 目撃したときに、打てるものなのか!? ねじが! カナヅチで!! と唖然としましたが、打てるのです、これが。 グリッグリッてな感じで入りこんでいきます。でも、これはいわゆる、「ねじがばかになる」状況を作っているのだと 思いますが、日曜大工の楽しさを忘れて久しい日本人のBapak2のみなさん、いかがなもんでしょう。

  その3−失敗したホッチキスの芯を定規で抜こうとする
  ホッチキスの後部にある取り除きパーツを知らずにいることもあり、ここの人たちはホッチキスを し損じると、たいていがそこらにある文房具を使って抜きますね。ぴっちりはまったホッチキスの芯と紙の隙間に 入るもの…ということで、薄いものが使われるわけですが、文房具の中で薄いものといったらこりゃもう、定規しか ありません。か弱そうでもホッチキスの芯だって金属としてのプライドがあります。その意外なまでの抵抗力に プラスチックの定規でしたら、ひびがいったリ割れることもあります。鉄製の定規でしたらひん曲がります。

  その4−タオルで皿をふこうとする
  そこのIbu2、頷いていらっしゃいますね。そうなんですよ、どうしてここの人たちは、役割の決まっている 道具を、役割外に使うんでしょうね。皿を拭くのにタオルでキュッキュ。では、食器用ふきんは何に使われているかと いうと、台拭きに使われます。では台拭きは何に使われるのだと見ていると、汚れた床をシャシャ。では雑巾はと いうと、すっかり足拭きマットとして定着していたりします。逆バージョンもありますね。これはこわいですよ。足拭き マットが雑巾になるぐらいは許せます。でも、雑巾を台拭きに使うってのはかなり戦慄です。台拭きが食器用 ふきんに使われるのも、けして許されるものではありません。そうそう、いつかなにげに雑巾を見たら、捨てたはず の私のTシャツだったこともありました。   

  よその国にやってきて勝手に文句を言っている私ですが、考えてみたらここの国の人たちも外国人の やっていることに物申したいことはうんとあることでしょう。では、彼らの言い分を私が代わってここに記したいと 思います。
  名付けて、「許すまじ! 外国人のインドネシア文化の使い方」。
  その1−葬式に使う香り花を、部屋に生ける   
  その2−お墓のお供えに使う素焼きの器を、オブジェに使う   
  その3−古臭い老人用モチーフのバティックのサロンを、タペストリーとして飾る     
  その4−いなかの結婚式のダサい音楽を、ヒーリングミュージックとかなんとかいってやたら流す   

  さー、みなさん。思い当たるフシ、ありませんか〜。ちなみに私は今だに全部やってます。てへへ。 


―つづく

                         ご感想をお寄せください
 
Jakarta Communication Club

JCC1- Jl.Cipaku2 No.27 Kebayoran Baru Jakarta Selatan 12170 INDONESIA
(TEL) 7203966/72791829 (FAX) 7203966

JCC2 - Jl.Cipaku2 No.4 Kebayoran Baru Jakarta Selatan 12170 INDONESIA
(TEL) 7257266/7250530 (FAX) 7257266


http://jccindonesia.com